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セロトニン

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セロトニン

ここ最近かなり有名になってきた物質ですが、その正体はいかなるものなのでしょうか。

神経伝達物質のひとつで、いわゆる幸福を感じさせる反応を引き起こすと考えられています。

これはトリプトファンという必須アミノ酸(人体が合成できないアミノ酸で摂取する必要があり、9種類ある)から生合成される物質で、ビタミンB群の助けを借りて作られます。
目覚めとともに放出され、睡眠中はメラトニンという物質に変化しています(メラトニンはセロトニンから作られます)。

また線維筋痛症に代表される炎症や損傷を伴わない、中枢性疼痛にも深く関わる物質として注目されています。

セロトニン合成に必須のビタミンB群、この場合特にB6とB3、は腸内細菌叢が合成の主役となっています。
これらをつかい延髄の上にある橋(きょう)の中にある縫線核という部分で作られます。
ちなみに橋は大脳と小脳の連絡部分でもあり、自律神経系の高位中枢でもあります。

トリプトファン自身は微量で事足りますし、現代日本の食事事情ではそうそう不足するようなものではありません。

がしかし、合成に必須であるビタミンの一部を作り出す腸内細菌叢の事情は、必ずしも摂取カロリーに比例して安定的であるとはいえません。
というよりむしろ内部の状況は悪化しているのではないかというのが大方の見方となっています。

もちろん緊急的な栄養問題、つまり飢餓を含むエネルギー不足などが日本においてはおおむね解消されつつあるということは喜ばしいと考えます。
やはり酸素、水の次に必要なカロリーの摂取問題があるうちは、なかなかその先の「幸福」にまで考えが及びませんから。

腸内細菌は微生物ネットワークの一部で、主に小腸での分解吸収に関わる問題ととらえてほぼ間違いありません。
そしてそれは腸内あるいは消化器官の中で完結しているものではなく、体の至る所に生息している細菌群とのネットワークを作り上げているといわれています。

しかし現状、特に日本の場合は細菌群が活発かつ安定的に生理に寄与できるケースは相当小さい割合でしかないと思われます。
まず様々な細菌群に触れる機会が極端に減っていることがその原因の一つではあります。
毒性の強いものは論外ですが、安定的な体内から雑菌だらけの体外に出てきた時点で様々な感染、暴露が行われます。
しかしこのとき抗生物質による除菌が行われていたとすると、ずいぶんと事情は変わってきます。

とにもかくにもいろいろなタイプの筋群を取り込みながら細菌叢や免疫システムの機能を整えてゆくわけですが、そのチャンスがどんどん削られているのが現状なのです。

このような状況下、腸内環境下では必要な物質を生合成する機能が低下するか安定性のないものとなりやすく、セロトニンビタミンB群の合成もずいぶん苦労するだろうと推測できます。

また合成が進まない物質を受容する側、つまり鍵が少ないと鍵穴の数にも影響が出てくると考えられています。
これは脳と言うよりも生体全般に見られる反応ですが、使わなければ衰えてゆくということです。

つまりセロトニンも合成が進まなければ、それをキャッチして昨日するはずの疼痛減衰システムも影響を受けるであろうことは容易に想像がつくのです。

もちろん線維筋痛症の原因が腸内環境であるかどうかは定かではありませんし、現在学会内ではあまり話題となってはいないようです。
しかしある程度の効果を見込むことにできる私たちの治良が、以前書いたように「体あるいは神経系の電気的な性質に干渉しうる可能性を持つ」とするならば、それをてこに微少な生命反応により強く働きかけ、そして最終的にシステム全体に何らかの反応をもたらしうる、と考えるのは傲慢に過ぎることでしょうか。

今はこれを勉強、研究中ですが、説明性の高いものにできるよう掘り下げてみるつもりです。

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