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脊椎関節炎

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脊椎関節炎

私が昔習ったときには強直性脊椎炎、仙腸関節炎といった独立した病名で診断されることが多かったのですが、最近は「脊椎、仙腸関節、四肢の関節に起きる非リウマチ性の炎症像を呈する問題」をまとめて脊椎関節炎と呼ぶようです。

この脊椎関節炎、じつは線維筋痛症との合併率が高い疾患の一つで、私もいろいろ調べてみました。

好発部位は踵や仙腸関節で、腱や靱帯と骨膜の癒合部分がそのスタート地点となることが多いようです。
病理については遙か昔(30年くらい前)に習ったような気もしますが、スッカリ忘れてしまいました。

ですが線維筋痛症との間にある関連性がみられるように思えてなりません。
以下私の勝手な推測を書き連ねてみます。

線維筋痛症と深い関わりが指摘されているセロトニンの分泌量と、抗重力筋と呼ばれる筋群の間には浅からぬ関係があるといわれています。

まず抗重力筋についての説明を。
読んで字のごとく「重力に対抗するための筋肉」で、下肢でいうと下腿三頭筋、大腿四頭筋などがその代表と言えます。
立位や座位でその姿勢を“重力に抗して”維持するための筋群、ということになります。

この筋群は脳幹におけるセロトニンの分泌量が不十分だと十分に機能せず、なんとなーく姿勢のよくない状態になるといわれています。

さてではなぜこの抗重力筋の不適切な機能状態が脊椎関節炎に結びつく、と私が考えたのか。

関節炎の発症メカニズム、これは医学的というよりもその成り立ちを順に考えていったものですが、の一つに「骨膜剥離方向への応力が繰り返し働きかける場合」というものがあります。
字面だけではなんのこっちゃ、ですが少し考えついたことを書きます。

筋肉の末端部はほとんど伸び縮みしない組織で、通常これを「腱」と呼びます。
筋肉はその大半が関節にまたがるように配置されていて、その両端は骨の上を走る繊維と癒合しています。
またその一部は骨に達しています。

骨の上を走る繊維を骨膜といい、骨にとってはとても重要な働きをします。
骨との間には厳密には分枝数個分を挟むことが可能な隙間を持ちます。

さてこの骨に癒合している腱や筋膜ですが、その上にある筋腹、つまり筋肉本体が姿勢を保つために必要な適切なインパルスを受け取れないあるいは維持できない状態であるときを考えてみます。
筋が適切な緊張を維持できないということは、おおむね「制御システムからのインパルスを受け取れない=緊張/弛緩がともに過剰」であることが多いと言ってよいわけです。

つまり筋肉は緊張したり緩んだりを絶え間なく繰り返しやすい、ということにつながります。
細かい反応は割愛しますが、骨膜との癒合部で通常よりも大きい振れ幅で牽引方向への応力が働くはずです。
もちろん筋/腱紡錘による微修正も機能しますが、それでも好ましいとは言えない機能状況下では説得力のある仮説となり得るはずです。

このときわずかですが隙間のある骨膜は剥離方向へ引っ張られ、その間隙は拡がると推測されます。
通常であれば一晩休めば治ってしまうような微々たる問題なのかもしれませんが、そこは支持組織コントロールに欠かせない十分なセロトニンが出づらい状況下。
修復最中にも適切な状態を確保できるとは限りません。

この拡がった間隙では「物理の原則に照らし合わせて考えるのであれば」次のような反応を引き起こすと考えられます。

引っ張り拡大された隙間(もしかするとそれは骨膜を構成する繊維同士でも起きているかもしれません)をうめるべく、体おそらくそれは骨質と骨膜両方で増殖が起きるはずです。
なぜなら元から会った安定性を侵食されることを体は嫌う傾向があるからです。

増殖の最初はおそらく局所ホルモンをはじめとした組織間連絡の頻繁さから始まるはずです。
これには必然的に炎症物質の混入があり、結果として微小な炎症反応が起きると思われます。

最初は微小でも繰り返されるとそこには「慢性的な炎症反応」とも呼ぶべき状況ができあがります。

つまりは脊椎関節炎もしくはこれに準ずる状態ができあがるわけです。

またいったん始まった炎症反応が、常に体内で産生されるエネルギーの一部を“使い続ける”結果、大食いの中枢神経系はもしかしたらエネルギー供給に問題を抱えるかもしれません。
また、疼痛の絶え間ない攻撃は、脊髄入り口の後根神経節を興奮させることも考えられます。

さらに問題なのは、疼痛信号の増大が興奮性のセロトニン作動性の神経を活性化させ、バーターで中枢側のセロトニン作動性神経に影響を与えることも十分あり得る話です。

グルーミングなどの末端刺激がそれなりに効果を発揮しうるというのも、案外こういったことが関係しているのかな、と考えます。

ただし炎症反応は長い間かかって固定あるいは常態化していることが多いので、そう簡単には好ましい反応を取り戻してくれないとも推測します。
いずれにしても十分に考え、観察し、ありきたりですが慌てずに処置してゆく必要があると私は考えます。

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