上顎骨
上顎骨
要するに上あごの骨のことですが、解剖学的には左右二つの骨が癒合してできています。
側方で頬骨、後方で口蓋骨、内部で鋤骨を介して蝶形骨、上で鼻骨と涙骨に接していま、。
また炎症を起こしやすい部位、歯や鼻腔の問題、エウスタキオ管を通して起こる中耳関連の問題など、でもあります。
ここは触って観察してみるとわかるのですが、正面から見たとき鼻の下が延びるような動きを繰り返します。
口の中に手を入れて上あごを前に推したら意外に柔らかくて、そのまま指の動きに合わせて前に膨らむような動き、といえばわかりやすいでしょうか。
その頂点は人中(唇の上の溝)のさらに少し上、鼻の穴の中辺りになります。
逆に眉間に近い部分の上顎は、少しすぼまるような動きが目立ちます。
これらの動きは篩骨の垂直板や鋤骨が下に下がるような動きと連動しています。
後頭骨や頭頂骨、蝶形骨、側頭骨などと違い、うねるようなモーションはあまりありませんが、内臓特に婦人科系や大腸に問題を抱えていると左右の不均衡さがはっきりするようになります。
また抜歯、特に前の方の歯を前側に引くように抜くと、この骨の動きを著しく制限する確率が高くなります。
逆に上あごを下から打ち付ける、つまり上顎全体を上に向かって強く押しつけると肺大腸経の反応をコントロールしづらくなる傾向があるようです(理由は不明)。
片手で額、片手で上顎に軽く触れ、その動きを追っていくと、そのフィット感(というのでしょうか)が予想よりも大きく、わたしにとっては矯正しやすい部位です。
こちらの誘導に対する追従性も高く、よほどのことがない限り可動性を取り戻すことができます。
手技療法でも重要視されることの少ないパーツみたいですが、意外と影響力があるので十分な注意が必要です。