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運動制御

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運動制御

こんな動画が話題になっています。
かなり動きが人間に近くて、少し不気味さも漂うような映像でもあります。

私がこの動画で注目したのは、歩くという運動がかなり深いレベルで解析されているなと言うことです。
世界有数の頭脳が開発したと思われる機械を、私ごときが「やるな!」などと評論するあたり、ずいぶんとえらくなったもんだと思うのですが、それはともかく動きの自然さが目につく動画であります。

歩く、あるいは私たちが何気なく行う動作というのは、実は単純な運動というのはほとんどありません。
必ず複合した動作を行い、そのベクトルは常に変化しています。
そして、上下左右においてほとんど反射的に逆ベクトルになるような動きをして、全体の運動を協調させています。

あなたが右手を90度まで持ち上げるとき、左半身、特に骨盤から下はやや後下方へ移動するように動き始めます。
そのとき右の骨盤と側腹筋は固定され、位置決めのためのアシストを行っています。
当然これらに伴って体幹はねじれ、頭(はありませんでしたが)の重心位置や、骨盤周辺の動きも変わってきます。
人間の場合、これらは無数の固有受容器から送られてくるデータを元に、神経系をはじめとしたバランシング機構が瞬時に最適化を行う結果、不安定の中に作られる安定を実現しています。

しかし機械でこれを行うのは、言うは易行うは難しの典型で、相当人間を研究しないと到達し得ないと考えられていました。
ただ突っ立って足を一歩一歩前に踏み出しの派そう難しいことではないのかもしれません。
ただあの動画のように横から押されてそのままぐらつきもせずに平然と前進するためのプロトコルは、人間をヒンジ付きの有機機械と単純に考えるだけでは決して実現し得ないものであることは明白です。

人間の場合、一つ一つの運動を統合してある目的を果たす運動につなげるのは小脳という中枢が主にその役を担っています。
大脳の後下方に位置し、脳幹部分にある橋(きょう)という組織を介して大脳と情報をやりとりしています。
勿論大脳も運動には参加していますが、この小脳を障害されると、運動と運動の間にある合目的性がなくなり、一貫性のないばらばらの動きを連続して行うようになります。
また平衡感覚にも強く影響しているので、車の運転でその自覚がないのにやたらぶつけやすくなったら即脳神経外科へGO!です。

ここで様々な運動を"学習"します。
意識レベルで了解している動きは、この小脳に"刻み込まれて"初めて自分のものになります。
ここに様々なパターンを記憶しておき、意識せずとも動けるようにしておきます。
その数やリンクは膨大であると考えられており、組み合わせによる運動パターンもまたとてつもない数に上ります。
ただし当然のようにその真の機能ははっきりしていないところも多く、どのような経路で運動パターンを蓄積、組み合わせ、出力しているのかも完全には解明されておりません。

治良を考えるとき、単純な修正が通用するケースはほとんど無く、複雑な問題を単純な状態に詰めて行うというのが最も効率的ですが、それでもなかなか解決しないことが多いのです。

それを考えると上記動画のロボット君、相当がんばっているなと感じるわけです。

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