牛乳2
牛乳について 2
前稿について少し考察してみます。
・人間が摂るべきものではない
分子的に考えると、タンパク質も脂質も糖質もすべていったん吸収可能な形に分解されるので、このあたりは植物だろうが肉だろうが差はありません。
しかし本当に「問題がない」と言い切れるのでしょうか。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の割合が人体に与える影響などはどうなのでしょうか?
タンパク質は本当にきれいに分解されてからのみ吸収されているのでしょうか?
またこれらのコンビネーションはどのような反応を引き出すのかデータはあるのでしょうか?
このあたりは否定派も肯定派もはっきりと言い切れるものを持ってはいないように思います。
・アレルギーの頻発
これは本当に多いですね。
アナフィラキシーの発生率も低くないように思えます。
甘く見ない方が良さそうです。
その原因がアレルゲンタンパクの分子量と関連性があることは昔から指摘されています。
つまり代謝不可能な分子が小腸から吸収されるという、ある種の免疫異常がその背景であるというわけです。
十分な腸管の機能やIgAの働きがあればそれほど恐れることはありません。
・乳糖不耐症
乳糖は母乳の中にも含まれており、乳児はこれを分解する酵素をしばらくの間分泌しています。
しかし授乳をやめると、あるいは1歳を過ぎたあたりからこの酵素が分泌されなくなります。
以降特に日本人の場合、膵臓でこれを作り続けることはまれで、のむと下痢を繰り返すケースがあります。
ただし継続的に牛乳を飲んでいると、オンデマンドで分解酵素が作られることがあるそうです。
・カルシウム代謝問題
牛乳のカルシウムがかえってカルシウム不足を引き起こすという説です。
カルシウムは副甲状腺ホルモン、カルシトニン、ビタミンDなどによってその血中濃度をコントロールされています。
ですから牛乳によって補給されたカルシウムが血中のカルシウム濃度を狂わすという論調は非論理的と言えます。
ただしそれ以外の牛乳成分や要素がその問題を引き起こさないという確証がありません。
また臨床的には牛乳に頼ったカルシウム摂取をしている人は、おしなべて体力の低下を招きやすいように感じています。
・乳牛が摂る薬物の問題
乳牛の出す乳の成分は厳しく監視されています。
また不必要な薬物を飲ませるほど酪農家は余裕を持てる職業ではないようです。
これは一部の問題をことさら大きく取り上げているように思えてアンフェアであります。
こうしてみると否定派の意見も色々穴があるようですが、アレルギーをはじめとした乳製品による反応は決して気のせいではなさそうです。
この事実は牛乳そのものにあるのか。
はたまたアレルギーの増加という現象の方に重きを置いて考えるべき問題なのか。
次回は肯定派の意見について考えてみます。