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糖質制限:その後

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糖質制限:その後

このサイトでも幾つか糖質制限について書きました。

また日経サイエンスの話で恐縮ですが、2013.12月号に「どっちで太る?カロリーか炭水化物か」という記事が載っています。

これはどちらかと言うと血糖値云々よりもダイエット、あるいは肥満の原因に関してのお話なのですが、なかなか興味深いことが書いてあります。

その一部を抜粋してみます。

----------抜粋ここから----------

1つ目は太る理由についての理解は正しいものの、肥満の人は(原因が遺伝、環境、行動のいずれであれ)自力で痩せることができないか、そのつもりがないという可能性。2つ目は肥満に関する私達の理解が間違っているがゆえに、状況を改善するためのおなじみの処方箋も間違っているという可能性だ。

中略

p49囲み記事

競合する2つの仮説
肥満の原因に関する2つの仮説が、筆者らが創設した栄養科学イニシアチブ(NuSI)の支援によって数年以内に検証される。

中略

カロリー説

これまで太る理由は摂取カロリーの消費カロリーのアンバランス、つまり「食べ過ぎ」で説明されてきた。脂肪であれ炭水化物やタンパク質であれ、とりすぎれば体脂肪は増える、痩せるためには食べる量を減らすか消費するカロリーを増やすしかない。

ホルモン説

もう1つの仮説は脂肪細胞の複雑な生理メカニズムに注目する。炭水化物を摂取すると血糖値(血中のブドウ糖濃度)が上昇し、その刺激でインスリンというホルモンが放出される。脂肪細胞はインスリンに反応し、脂肪の蓄えが使われにくくなるだけではなく、更に増えてしまう。そのため炭水化物を食べてインスリン濃度が上昇した状態が長く続くと体重が増加する。

---------抜粋ここまで----------

この記事に書かれてあることがある程度の論理性と生化学的な正しさを備えているとすると、カロリー説の弱点に関して次のような点が挙げられるかもしれません。

・余剰カロリーが全て脂肪に変換されうるとするロジックの穴

細胞質における余剰血糖の脂肪変換メカニズムはわかっているが、そのプロセスに対して誤解を抱えたまま考え続けてきたかもしれないということ。
そもそも余剰血糖の発生するプロセスに関して、推測の域を出ていない可能性を考慮して、再考の必要があるかもしれない。

近来ではGI値(血糖への変換しやすさを表す値)や、糖質に対する研究が進んでいます。
特に食物中に含まれる糖質と血糖値の変動に密接な関連性があることがわかっています。

これらのエネルギー源の処理に対する私達の体内反応は、わかりやすい加減算で計算されるべきものではなく、その間あいだで使われる大量のホルモン、生理活性物質の働きを考慮しなければならないのかもしれない。
考慮すべき要素、あるいは反応が未だ十分に関連付けられていない可能性があるかも。
今月号の記事はそのように主張しているようです。

話は少し変わります。

血糖値を最も使うのは横紋筋、つまり骨格について体を動かす筋肉です。

インスリンによって取り込まれる分もあれば、ATPを使うことによって生じる反応によって取り込まれる分もあります。

何れにしてもこの骨格筋の占める割合が大きいほど、糖代謝における膵臓の負担と血管内における攻撃性は低下します。

つまり骨格筋が多ければ多いほど、脂肪の蓄積度合いは低下する、というロジックが見いだせます。

どうやら十分に実用的な論理、理論のようですが、これは従来の「カロリー説」を前提にしており、その詳しいメカニズムについては十分に解明されていないと見るべきでしょう。

また骨格筋を大きくするためには、タンパク質の摂取量を増やす必要があります。

これは反面アンモニアの生成を促すもので、体液の酸液平衡を司る腎機能などに多大な負荷をかける可能性を忘れるべきではないと考えられています。

上記の囲み記事にあるように現在「肥満の主要因としての糖質」が真か偽かを比較的大きな母数で追跡調査中のようです。

この結果が出るまでには時間がかかりますが、私達の健康を見直す結果になるのかどうか、興味深く観察してゆきたいと思っています。

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