卵
卵
もうほとんど食卓の定番と言えますね。
私もたまに食べますし、アレルギーのある方を除いて食べたことがない人というのはいないのではないかと、私などは思ったりします。
分子栄養学的に考えると非常に優秀と言えます。
まずアミノ酸スコア100と完璧で、緊急的な栄養源としては理想的であるとされています。
タンパク質を作るのはアミノ酸という、塩基の組み合わせからなる分子です。
人体に必要なアミノ酸は20種類ですが、体内で合成できないアミノ酸を必須アミノ酸と言い、成人で8種類。小児だと9種類と言われています。
これらをバランスよく含むものがアミノ酸スコアで高得点をたたき出します。
ちなみにアミノ酸スコアでいうなら一種類では不完全でも、数種類の食品を組み合わせて完全なアミノ酸サプライを達成できれば問題はありません。
短期間ではこれらの必須アミノ酸不足が引き起こす障害というのは顕著ではありませんが、長期にわたると必ず問題を起こすと考えられています。
数百から数万に及ぶ分子構造のうち、たった一つが他のものに置き換わっただけで機能不全になるものもあれば、繰り返し出てくる構造置換もさして問題にならないケースもあります。
またその程度も人それぞれで、一概には言えませんが、8/20もしくは9/20というのは決して低確率ではなく、それらが慢性的に不足あるいは代謝できない状況下では、ほとんど間違いなく問題を引き起こすとみて間違いはなさそうです。
またビタミンや脂質の供給源としても軽率に扱うことができません。
無人島で栄養障害を引き起こすリスクを減らしたい場合、鶏を飼うことをおすすめいたします。
特に日本は伝統的に動物性タンパクが少ない食事内容なので、十分に注意する必要があるのかもしれません。
対して卵にもネガティブな面も少なからずあることを覚えておく必要があります。
まずアレルギーを起こしやすい。
これは卵白に含まれる「オボアルブミン(直訳すると”卵のアルブミン”=タンパク質の一種)」がその主役です。
総じて食物アレルギーの場合、分子切断から吸収可能なアミノ酸にして、小腸から吸収を行う課程に問題が出てきます。
たいていは分子分解が不十分で、巨大分子のまま血流にのり、免疫がこれを異物と見なし抗原抗体反応によってややこしい症状が出るようです。
特に卵白プロテインには含硫アミノ酸という、硫黄を含むアミノ酸が多めに含まれています。
問題はこの"硫黄”というやつで、これは様々な物質と反応して酸を作ります。
これを中和するための反応が頻繁に起きるようになると、肝臓や腎臓といった代謝系の反応が活発になります。
活発になるのは良いこともありますが、しかし同時に限られたリソースを使うので代謝系の反応が偏りがちになります。
この偏りがアレルギーの背景の一つであると私はにらんでいます。
また、硫黄を分子的に切り離すために起きる反応は、より多くの酵素が働かねばならず、その負担も小さくなかろうと思っています。
マクロビオティック的には陽性の極みにあるこの卵というのは、陰性に極みにある状態に対して有効とされる反面、過剰摂取は陽性臓器である心臓やそれを制御する腎臓などに強い影響を与えると考えられています。
たとえば緊急時の極陰性の場合、卵黄にこれまた陽性の醤油を入れて飲ませることでその場をしのげると説いています。
同時に連続摂取をすると心臓や肝臓、腎臓が硬くなり、腫瘍を容易に発生させうる素地を作るともいいます。
いずれにしても影響力十分なものとして、慎重に扱う必要があると言うことです。