コラーゲンについて
コラーゲンについて
コラーゲンは体内で合成される、構造を担う組織に多く採用されるタンパク質を指します。
その総量は全身にあるタンパク質の20~30%に上るとみられ、かなりのものとなります。
靱帯や腱などに多く含まれ、血管の外壁もこのタンパク質が形作っています。
顕微鏡で見ると単純な繰り返し構造を延々と続けていて、それらが3種類ほど集まって螺旋状に絡まっています。
これらが作る組織をコラーゲン繊維(膠原繊維)とよび、これが冒される病気を膠原病と言います。
因みにその中の代表的な慢性関節リュウマチは、この膠原組織が熱破壊像を呈します。
典型的な症状として朝、両指のこわばりが観察され、徐々に中心に向かって進行します。
初期段階で適切な処置をすることによって予後がずいぶん変わるので、この症状が出たらすぐに専門医の指示を仰ぎましょう。
コラーゲンを含んだサプリメントも最近ずいぶん目にするようになりました。
「これってどうなの?」とよく聞かれます。
コラーゲンだけではなく、タンパク質の類はいったんすべてアミノ酸という、吸収可能な形の小さな分子に分解されてから肝臓に送られます。
ここで「これはコラーゲンを分解してできたアミノ酸だからコラーゲンを作るために使おう」と言うことにはならないのです。
人体において利用可能なアミノ酸の種類は20種類。
そのアミノ酸をつなげてできる人体にとって利用可能なタンパク質は2万種類を超えています。
体内で作られるタンパク質はDNA上にコードされた設計図を元に合成されます。
小さな分子であるペプチドから、巨大分子である4次構造タンパク質まで、カラダのあらゆる所から送られてくるフィーバックデータを元に、オンデマンドで合成されたり、スイッチのオンオフが行われています。
この合成過程において、アミノ酸の“出自”は関係が無く、ただの材料として扱われ、タンパク質が合成されます。
まったく驚くべきシステムですが、人体に存在する2万種類あまりのタンパク質は、黙々とその作業をこなしています。
コラーゲンをたくさんとることで得られる反応は、材料のアミノ酸を大量にとることで起きるもので、コラーゲンという構造タンパク質が直接影響を及ぼしているものではありません。
ましてやコラーゲン配合の化粧品などが皮膚から直接吸収されるというのは、分子生物学的には全くのナンセンスであると言える、そうです。
ただし、配合剤との相互作用があるのかどうかはわかりませんし、保湿成分が細胞をしゃんとさせるというのはあるかも知れません。
またコラーゲン特有の水酸化されたアミノ酸は、それ単独による効果がはっきりしないそうですが、これを合成するためにはビタミンCが必要で、コラーゲン効果なるものがあるとして、それを発揮させるためには、どうやら別途サプリメントが必要なのかも知れません。
いずれにしても体内で起きているタンパク質の合成や分解、そしてそれらの反応全体の制御に関わる問題は、単にアミノ酸を大量にとれば解決するというようなものではなさそうです。
サプリメントの摂取は慎重に行いましょう。