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自然治癒力 1

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自然治癒力 1 2011/07/08

これもすでに何度も触れている考え方ですが、実はまだよくわかっていない概念でもあります。

自然は「放置するとだんだんと無秩序へ向かう」という法則があります。
その観点からいうと自然治癒力というのはこの法則に逆らい、自己組織化を促す方向付けをするもの、と言う事になりそうです。
尤も本当にそのような「力」と呼べるようなものがどこかにあるかどうかは定かではありませんが。

ただ「これは自然治癒力と呼んでも差し支えなし」と呼べる現象はいくつか観察されています。

これには生体における構造上の特異性が関与しています。
細胞の構造でも述べましたが、生物の体は基本的に最小の部材で強度と柔軟性を確保しています。
もちろんその程度やパターンは様々ですが、このような構造をとることで生きるうえでの効率、そして確率を上げようとしています。
その構造上の特徴と特性が顕著に出ているのが、軸索の反応という事だと考えています。

少しおさらいをしてみます。
細胞単位で見た場合、支える骨格ともいうべきタンパク質はいくつかの種類があります。

1.収縮性のマイクロフィラメント
これは細胞内に張り巡らされており、細胞全体を内側へ引き込むような力を作り出しています。

2.微小管
細胞内において収縮性マイクロフィラメントに対抗する応力を作り出しています。
1がテントにおけるロープだとすると、ちょうど梁のような働きをしています。

3.中関径フィラメント
1と2を相互に結びつけて連携を取っています。

これらの力が作り出すフレーム構造を圧縮応力構造といいます。
圧縮部材とそれを引っ張る張力部材が互いに連携を取り、変動に対する構造上のリスクを最小限にしています。
また、負荷はすべての部材に連続的に伝達され、構造自体が応力を処理するようになっています。
捻られればエネルギーをためて復元を試み、限界を超えて力が加えられた場合は構造タンパク質を変化させて破損を最小限に抑える事もあります。

ひらたくいうなら「とても柔軟だけど強固な作り」なのが生体という構造である、と言う事になります。

筋膜組織の損傷を例にとって考えて見ます。
筋膜は膠原組織(主にコラーゲン)と弾性組織によってできた、複雑な編み物のような構造になっています。
これが外力などで引き延ばされた場合、まず弾性組織がいっぱいになるまで伸展します。
このとき膠原組織も緩みを使ってすぐに追従します。
破損は先に膠原組織におきます。
事実上同時に弾性組織もダメージを受けますが、この状態になるといったん化学的反応によっての修復が行われます。
リンパ液が流れ込み、いわゆる炎症状態を惹起します。

損傷の程度が軽ければ、あるいは化学的修復がある程度進んだところで、今度は物理的特性が働き始めます。
損傷を受けた部位の周辺が、押し広げようとした損傷エネルギーに対抗して、それらを熱エネルギーに変換しながら放出し始めます。
放出と同時にここのフレーム構造からなる、より大きな相似のフレーム構造、圧縮応力構造が機能します。
つまり周囲の組織が損傷部位に向かって収縮します。
この物理的反応の最中も化学的修復は続きます。
メイン骨格であるコラーゲンはメディエーター刺激によって増産されたグリシンをはじめとしたアミノ酸によって、修復がどんどん進みます。
コラーゲン同士がつながり始めるとその構造上の特性から、引っ張り応力に対抗する力が生まれ始めます。

これらの反応は架空の力を想定しなくとも、生体特有の構造が起こす応力によって説明がつく反応です。
尤も、私達の体を安定させるためにはこれだけでは不十分である事は明白です。

以降はそれらの反応について考えて見ます。

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