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糖質制限3

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糖質制限3

糖質制限糖質制限2に続き糖代謝について考えてみます。

この一連の稿では糖代謝問題のある場合、糖質の摂取後に起きる反応がきわめて問題であるという意見を元に書いてみました。
加えてその実践派からは「糖質とるのは愚かな行為」という趣旨の発言も(ネット上ですが)飛び出しています。
しかし本当にそうなのでしょうか。
私たちの体はいうほど炭水化物に最適化されていないのでしょうか。

通常我々は糖をATPに変換することでエネルギーを得ています。
なぜならそれがもっとも効率が良いからです。

糖が不足すると脂肪やタンパク質をエネルギーに変換する反応が立ち上がります。
ただしこれらは一般には緊急時用のもので、通常糖代謝によるエネルギー変換が優先されます。

脂肪はたくさんの炭素が丹念につなぎ合わされた構造で、体積の割には分解されてできるATPが多くなっています。
つまり優れたエネルギー保存形態というわけです。
しかし同時にその分解には多大なエネルギーが必要になり、その反応プロセスは大量の酸化反応と切り離して考えることはできません。

タンパク質は本来エネルギー貯蔵よりも、構造や酵素反応にその役割が多く振られていて、分解時に得られるエネルギーもその労力の割には少なめになっています。
加えて窒素や硫黄の分離/処理の負荷は代謝系にとっては小さいものではありません。

さてそう考えるととても便利な栄養が糖という物質ですが、その代謝プロセスに問題が生じ長期化すると様々な弊害が現れてきます。

その一つに糖毒性という問題があります。

血中にある糖があるレベルを超えると、高インスリン状態やインスリン抵抗性という現象が現れます。
これはやや複雑な反応を経ますが、インスリンという「糖取り込みのための鍵」が細胞膜に作用しづらくなります。
また脂質代謝にも影響を与え、高脂血症を招きやすくなります。

これは血中にうろついているたくさんのインスリンが脂肪分解を抑制するため、脂肪分がエネルギーとして使われづらくなります。

糖代謝に問題のある状態で糖質が入ってくるとこれらの問題が一気に起きるため、糖そのものが毒性を持つかのような反応を示すので糖毒性と呼ばれます。

これは見方を変えると「糖」という物質の反応性の高さを物語っています。
糖の代表であるグルコースはその末端にアルデヒド基という原子団を持っています。

じつはこのアルデヒド基というのは非常にタンパク質と結合しやすい性質があります。
そのため血中に必要以上あると、血管を構成するタンパク質とも反応し、糖化という現象を起こします。

糖尿病が血管問題といわれるゆえんです。

エネルギーという非常に流動的な状態に変化させやすい性質は、当然その反応プロセスで様々な問題が生じ得ることを意味します。

反応性が良いということは不安定であるということになり、素早く取り込んで所定の場所で使ってもらう必要があります。

そしてその鍵となるのがインスリンですが、これ自体もかなりの“劇薬”とも言えるホルモンなのです。
非常に反応性が高い糖を素早く取り込むものですが、腎臓においてナトリウムの再吸収を促したり、肝臓における糖新生の抑制(脂肪の分解抑制と同義)などをするため、臓器への負担が考えるよりも大きいのです。

もちろんこれらの反応の後始末を行うメカニズムや酵素も多数用意されていますが、過剰な反応が負担になることには変わりありません。

話は少し変わりますが私たちがこのように高度で複雑な反応様式を維持できる最大に理由は、私たちが進化の段階で酸素を利用できるようになったからに他ありません。
酸素を利用せずに起きる反応だけでATPを作り出そうとすると、ざっと10分の1くらいしかエネルギーを生み出せない計算になります。

またその酸素の反応を利用し、脂肪という貯蓄を作り出す能力を手に入れ、それ故に脳というきわめて高度な制御系臓器を発達させることができました。

同時にその燃焼反応を促進させる性質は、活性酸素という必要でありながらとてもやっかいな反応をしてしまうものもセットで組み込んでしまう結果になりました。

絶対に欠かせないものでありながら、一方で体を傷つける反応が切り離せない。

何か糖という物質と似ていませんか?

長期的に糖質制限した場合の問題点について、とくに私たちモンゴロイドがどのような状態になるのかはまだはっきりわかっていません。

短期的あるいは生化学的な考察があるだけで、メタ解析ができるほどのデータは無いというのが実情でしょう。

良いところ、問題のあるところをきちんと理解した上、自己責任で試すしかない。

私はそう考えます。

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