case1
平成22年受診
女性
主訴:右腰痛 坐位から立ち上がるときなど、同じ姿勢からの動きだしがつらい。
マッサージなどのケアをするが2年間変化無し。
ただし悪化もしていない。
下肢にしびれなどの症状無し。
既往歴無し。
右腰方形筋筋腹の緊張低下。
内部のセンサーが刺激に反応しないような印象。
これを強調すると第一頚椎右横突起が後方へ逃げるような変位を起こす。
さらに第一頚椎後方変位を強調するようにすると右肘橈骨付近に反応出現。
橈骨頭が近位側に詰まるような位置で固定され制限されている。
システムエラーあり。
橈骨頭を固定してチェックすると右大腿四頭筋、正確には外側直筋筋腹が矯正ポイント>>アジャスト。
一回目を終了。
翌日2回目。
症状はほとんど消失。
昨日までのチェックポイントも反応無し。
代わりに上肢帯、特に胸骨ヘイに可動制限出現。
前回チェックに引っかかった右上腕の可動制限とリンク。
胸骨ヘイを固定してチェック>>右頬骨に治良ポイント出現。
治良して2回目を終了。
2日おいて3回目。
気になる症状無し。
システムエラー無し。
体重支持面における、坐位あるいは中くらいまでの前屈時の動きを調整。
その後総合検査を行うも問題なし。
終了。
考察
人体における機械的制限がもたらす問題の典型的ケース。
おそらく腕をつくような形で前腕=橈骨頭周辺の動きに制限を作ったのがきっかけ。
これが上肢帯に影響を及ぼし、特に鎖骨周辺に問題を集中させた形跡あり。
肩甲挙筋の緊張と頚胸移行部の不安定さが背景となって第一頚椎の位置異常に発展したものと思われる。
これがベースになり、大腰筋、大腿四頭筋の反応を誘発。
最終的に腰方形筋に負荷を集中させる原因なったと推測。
細かいメカニズムは割愛。
一度この状態が形成されてしまうと、筋肉において虚血、低酸素状態が誘発され、痛みが取れづらい状況ができあがります。
この状態で動かすと、さらに交感神経性異栄養症までがでてきて、自力回復はかなり難しいものとなります。
これらはある意味異常な状態に対しての最適化の結果ですが、システム全体が自分に対して不利な状態を続けるループも形成しているので、私はシステムエラーの一種であると位置づけています。
問題の箇所の特定が困難な場合、このシステムエラーの一部もしくはその反応をテコに介入の糸口とすることも可能です。