赤外線
赤外線について
紫外線といえば赤外線がセット、というわけではありませんが、今回は赤外線について考えてみます。
紫外線が可視光線よりも波長が短く、より高エネルギーであるのに対して、赤外線は可視光線よりも波長が長いのが特徴です。
つまりエネルギーが小さく、生体分子に対する加害性も(紫外線よりは)低い、ということでもあります。
同時に生体に吸収されると熱に変換しやすいという特徴もあり、水分子を振動させる効果も高いようです。
紫外線は高エネルギーではありますが、水などの生体分子固有振動領域とは振動数が必ずしも一致していないことも多いようです。
電子レンジなどがだすマイクロ波などは別ですが、高エネルギーの電磁波は比較的熱的影響が少ないようです。
赤外線は以下のように分類されています。
・近赤外線
可視光に近い波長を持っています。
赤外線カメラやリモコンでよく利用されています。
・中赤外線
指紋領域とも呼ばれ、物質によって異なる吸収帯を特定するときに使われることが多い(そう)です。
・遠赤外線
かなり長い波長を持つ光線で、どちらかというと電波と呼ばれる電磁波に近いものとなっています。
物質の持つ固有の分子振動領域の多くが遠赤外線の波長と一致しています。
それゆえに熱に変換しやすいという特徴を持ちます(分子の振動=熱)。
身近な遠赤外線反射材として、私たちが着ている服の繊維があります。
吸収、再反射率が高く、それ故に保温性もなかなかなのです。
ただし遠赤外線が体の奥深くまで浸透して云々、というのは「嘘」です。
遠赤外線は表層部分でほとんどが熱に変わってしまいますが、その熱が毛細血管の血行を促進します。
末端部分の血流が促進されると、中心部分に向けて順次血管が緩み全身の血行が促進される、というのが正しいと思われます。
また、サーモグラフィーなどの熱感知装置はこの遠赤外線をキャッチし、発光体として映像化しています。
ですから可視光がなくても熱源自体を発光体としてとらえることが可能です。
赤外線の場合、生体分子に関してはただ振動が大きくなるだけですみますが、熱となってタンパク質や脂肪を熱破壊することも当然ながら考えられます。
体によいという台詞を鵜呑みにしてこの遠赤外線を浴び続ける人がいますが、低温やけどを含むリスクが存在することを忘れるべきではありません。