筋膜とは
筋膜とは
先日慢性的な腰痛に悩む女性が来院されました。
検査の結果は腹部側深層筋群間の滑走性の低下が原因であり、これを解消したところ腰痛は漸減し6回ほどの治良後解消しました。
さて今回はこの滑走性の低下について調べてみました。
そもそも何と何が滑っているのか。
上記のケースで言えば「筋肉と筋肉」の間で起きているすべり量が減っている、と考えられます。
組織や器官、そして細胞の外には「細胞外マトリクス(ECM)」という非細胞性の間質があります。
これは主にコラーゲン、エラスチン、そしてヒアルロン酸を主体とするもので、これがシート状或いは立体構造をとったモノが「筋膜」と呼ばれる巨大な器官です。
この筋膜は全身において直接的、間接的に「連携」しており、全体でみると圧縮応力構造として機能しています。
隣接する筋肉同士は大抵の場合この筋膜によって連結されていて、ある程度の範囲で滑りを互いに許容する構造になっています。
しかし何らかの理由、例えば循環の低下によるヒアルロン酸の劣化(正確には水分不足が招く粘度の上昇)がなめらかな滑りを阻害したりすると筋肉間の動きは小さくなります。
一般的に言うところの「筋膜の癒着」はだいたいこの状況を指しています。
これが続くと構造タンパクで構成されている筋膜はその線維の整列方向が限定されはじめ、硬く厚くなっていく傾向があります。
筋膜を剥がすという表現は、物理的な刺激によって劣化したヒアルロン酸をリンパへ流し新たな水分を十分に含んだ間質液を導入する。
あるいは剪断力によって線維の限定された整列を解除し、再組織化を促すことを示しています(多分)。
そしてなぜ自分の治良が(筋肉間の滑走性低下という検査結果が妥当だとして)直接的な外力がほぼゼロなのになぜ筋肉間の滑走性つまり筋膜の機能復元ができたのでしょうか。
一つ考えられるのは副交感神経優位による循環の改善です。
治良は極めて小さい力、ほとんどタッチしているだけのような力を使いますが、この触れるか触れないかの刺激は表皮を通してC線維経由で自律神経機能に影響します。
端的にはリラックス、つまり副交感神経優位になるように誘導します。
結果として筋肉をはじめとした支持組織の緊張は低下しリンパ管による排出効率は上がり、古い間質液は静脈に合流して心臓へ戻されます。
これが直接的外力には即効性で劣りますが、おだやかに筋膜の再組織化を促し症状の改善に寄与しているものと推測されます。
筋膜だけでみるとわからないこともあるけれど、筋膜で考えるとわからなかったことが腑に落ちることも沢山ある
今回改めてそう感じました。