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癒着

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癒着

よく「手術のあとが癒着して・・」と訴えられる方がおられます。
その癒着について少し考えてみます。

組織同士がくっついてしまい、正常な可動性が維持できていない状態を指します。
通常いきなりこれがおきることはまずありません。
普通組織同士は筋膜などの保護組織や粘液でお互いから独立した動きを確保しています。
しかし組織修復が働く現象、病理や外傷あるいは手術などによる出血などがあると、その部分にリンパ球誘導をはじめとした修復機転による炎症反応が起こります。
このとき、隣り合っている組織同士の間できれいに治り始めるのであればあまり問題はありません。
しかし、そこで起きている炎症反応が何らかの原因で長引いたり、もしくは必要以上の炎症が起きることによって、その組織の許容量以上の血液やリンパ液が流れ込んでくることになります。

その大量の体液はそのまま通り過ぎてくれれば何も問題はないのですが、これにつられて集まってくる局所ホルモンやその他の調整物質があまりありがたくない反応を誘います。
ありがたくない、というのは上記にあるように「必要以上の炎症反応」のことです。
つまり悪循環が形成されてしまうケースです。

そうすると事実上血管同士の交通が生まれます。
以前は交通のなかった隣同士で、血液という食事を融通し合うことになるわけです。
これの意味するところはお互いの垣根がなくなり、一つの組織になると言うことです。
しかし細胞表面のレセプターやら何やらのレベルでは微妙な拒否反応があるため、完全に一つになれずにぐたぐたになっている状態を考えれば大体あたりです。

非常に細かいエリアではこのような反応を始終繰り返していると思われますが、あまり大きな範囲でこれがおきると何かとうれしくない状態を呈することもにもなります。
内臓も実は少しずつ動く、この場合物理的な運動という意味ですが、ことによってその機能を維持しています。
腸や胃はその最もわかりやすいものですが、肝臓や腎臓などの代謝系も完全に固定されるときちんと働けなくなります。
このように癒着がおきると何かと不便なことが多いのですが、血管という栄養経路を共有しているため、そう簡単には元通りにはなりません。

癒着がおきたばかりであればフリップアウトなどの手技を用いて安定させることも可能です。
しかし長期にわたり癒着が継続された状態では、瘢痕化という反応が起きます。
これは血管レベルでの共有よりもさらにやっかいです。
無理をして接合した組織においてその後血行が少なくなり、固まったままになって放置されているからです。
これは容易に引きはがせるものではなく、後々面倒な問題を引き起こす可能性が高いものです。

これに対してもう少しライトな「固着」という反応もあります。
これは隣同士での組織接合がなく、同一器官内(たとえば一つの筋肉内部)で組織同士が強く結びついてしまう状態、あるいは癒着の一歩手前で血管同士の交通がない状態を指します。
これは比較的元に戻しやすく、様々な方法で安定させることが可能です。

できればこのような状態は避けたいところですが、生きている限り全く炎症を起こさないこと、そしてそれを常時完全に理想的な範囲におさめておくことは不可能と言ってもいいでしょう。
こういったことを考えるたびに(手前味噌ではなく)、「治良による日頃のケアは大事だな」と思ってしまいます。

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