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タンパク質2

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タンパク質2

タンパク質の稿で「アミノ酸の連なりが立体構造をとることでタンパク質として機能する」と言うことを書きました。
これ自体は間違っていませんが完全に正しいというわけではない、ようなのです。

日経サイエンス2011年7月号に「しなやかなタンパク質」という記事が載っています。
これによると、従来の説ではタンパク質の機能は特定の立体構造に依存しており、これを持って標的分子との結合を可能にするとされてきました。
しかし、近年の研究では人体で働くタンパク質のうち約1/3が全体あるいは一部の立体構造が定まらない「天然変性タンパク質」と呼ばれるものであることがわかってきたとのこと。

今までも酵素タンパク質などはある種の可動部品を組み込んだ可変タンパク質であることは知られていたそうですが、「天然変性タンパク質」はそもそも立体構造を取り得ないものもあるそうです。
汎用性のあるもの、あるいは標的性の極めて高いもの、いずれにしても立体構造同士がかみ合うことで機能を発揮すると考えられていたのですが、この天然変性タンパク質は不定形で近づいてゆき相手の形に合わせて絡みつくようにドッキングを行うようなのです。
免疫システムの主役も可変領域を持っていて、状況によってそのアタッチメントをかえるように変化/対応しますが、最初から全く立体構造をとらない、言うなれば2次構造あるいはポリペプチドのまま機能するものがあるというのはかなりびっくりしました。

元来、疎水構造の疎水反応によって折りたたみが進むタンパク質は、アミノ酸の前後関係をはじめとした分子配列の違いなどの影響により、その立体構造も同じタンパク質同士でも個人差が存在しています。
他分子のドッキングベイである部分の大きさや吸着力が、必ずしも同じようなものであるとは限らないわけです。
たった一つのアミノ酸のエラーで全く役に立たないこともあれば、いくつのエラーを抱えながら平気で機能しているタンパク質もあります。
そしてたった一つのタンパク質が機能しないために致命的な問題を呈することもあれば、いくつかのタンパク質が欠損していても割と問題なく長生きすることもあります。
無駄の稿でも書いたように、全く無駄のない、洗練の極みにある機械のような超効率的なものだけでできあがっていたとしたらひとたまりもないアクシデントも、あれこれ遠回りとも言える反応を組み込んでいる私たちは意外と柔軟な対応が可能であるのです。

そんな柔軟性の代表とも言えるのがこの天然変性タンパク質なのだろうかと、遅ればせながら考えてしまいました。

まだまだ私の知らない体の動向や、そこに隠されている治良のヒントはたくさんあるようです。

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