キノリン酸
キノリン酸について
キノリン酸はトリプトファンがナイアシンに転換される途中にできる中間生成物です。
分子構造がグルタミン酸と似ていて、官能基(COOH)が二つ、似たような立体構造で並んでいます。
基radicalが似てくると反応性も似てきますが、キノリン酸もグルタミン酸と似たような振る舞いを神経系で起こします。
神経細胞の表面には鍵穴とも言えるレセプターというタンパク質が埋まっています。
この鍵穴に特定の物質がはまり込むことで、いろいろな働きをします。
グルタミン酸は興奮物質として働きますが、通常脳にはほんの少ししか存在せず、発生して使われたらすぐに分解させられます。
また、脳関門が血液中のグルタミン酸をブロックしているため、直接入り込むことはありません。
しかしトリプトファンは脳には必須で、なおかつ体内合成ができないため、脳関門をフリーパスとなります。
このトリプトファンをナイアシンにする課程でできるのがキノリン酸で、これを無毒化するのがキノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼという、舌を噛みそうな長い名前の酵素です。
しかし何らかの原因、大量のあり得ないくらいのトリプトファン摂取や、遺伝上の問題、あるいはロイシンなどの過剰摂取、によってキノリン酸が大量に生成されると、脳内において異常な興奮状態が惹起されることになります。
神経細胞はデリケートなので、あっという間に細胞がダメージを負い、場合によっては復帰できなくなります。
キノリン酸の毒性とはそのようなことを指します。