ふぐ
ふぐ
私は今までに数回した食べたことがないのですが、少ない記憶をたどってみると「うまかったなあ・・」という気持ちが止められません(笑)。
脂肪分がなくて、鍋にしても脂一つ浮いてこない。
刺身はこりこりとすばらしい食感で、またなんともたまりません。
さて何でこんな季節外れのことを書くのか。
もちろん「昨日食べたから」などと言ううれしい報告なんかではありません。
こんな記事を見つけたからです。
ふぐ毒というのはその主要成分がテトロドトキシンというアルカロイドから成立しています。
このアルカロイドは主にふぐが、自身の食べるえさを生物濃縮することから精製されると考えられています。
さてではどのように体に対して毒性を発揮するのでしょうか。
体の中には「電位依存性ナトリウムチャンネル」と言うものが、そこかしこに存在しています。
細胞膜が興奮するとき、細胞の内側外側でミネラルイオンの濃度が近づいて、その部分に活動電位という電気が発生します。
こうした状態がおきている部位を「細胞が興奮している」と呼びます。
この部分で起きた電気は細胞膜に埋まっているタンパク質の立体構造に影響を及ぼします。
ナトリウムという、細胞外に多いミネラルイオンを通すタンパク質もその影響を受けやすいものの一つです。
ここが影響を受けると細胞内にナトリウムイオンが流れ込み、ますます興奮が大きくなります。
それが次々次と伝わることによって、神経は命令を伝えたり、情報を受け取ったりしています。
この電位依存性ナトリウムチャンネルにはまり込んで、細胞の興奮を伝えられなくするのがテトロドトキシンというわけです。
これが呼吸に関する神経や筋肉に影響することから、すぐに重篤な状態となります。
呼吸不全という状態です。
このテトロドトキシン、熱を加えても分解されず、毎年多くの中毒患者を出します。
また解毒に関して有効な緊急処置方が見つかっておらず、代謝によって自然に無毒化されるまで待つしか無いという、恐ろしいものでもあります。
不用意に調理したり(調理には国家資格が必要)、食べたりは絶対にするべきではありません。
また民間療法や迷信のような処置方はほとんど効果が無いので、すぐ医師にまかせるべきです。
これだけ悲惨な事件の前例があって、しかも同じような問題が後を絶たない。
人間とはなかなか利口になれない動物なのだな、とつくづく考えさせられます。