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触媒

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触媒について

私たちのカラダはあらゆるものを取り込んで利用する、いわばオープンシステムによる反応炉と言うことができます。
カラダの外側はそのまま触れられても、内部に導き入れる際には私たちにフィットする形でないと非常にまずい事態を招きます。
「ん?でも食べ物なんてそのまま胃に入れることもできるでしょ?」という質問を受けたことがありますが、胃や腸などの消化管は正確には体の外側扱いになります。
発生学的にも体表がくぼんで深くなっていって貫通した形でできているのが消化管です。
そんなわけで消化管自体はフィットしない形での接触が許されるのです。

しかし胃や腸から吸収された養分は、その先で肝臓に運ばれます。
このとき、門脈から肝臓、そして血液内から各組織へ運ばれていく際、たとえばアルコールがそのまま入り込むと、ほんの微量でも場合によっては致命的になります。

もちろん普段そんなことはないのですが、それは酵素がアルコールを分解してくれているからです。
この体に対して無害化、かつものによっては養分に変換してくれる作用を持つ物質を触媒といい、体の中では主にタンパク質がその役目に就いています。

では上記のアルコールを例にとって説明してみます。

アルコールは胃や小腸で吸収されます。
その先は門脈につながっていますが、ここから肝臓に運ばれます。
そこでアルコール脱水素酵素によって水素が引き抜かれ、アセトアルデヒドという有毒物質に変換されます。
さらにアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを受け、酢酸に変化。
酢酸は血流にのって筋肉などに運ばれ、クエン酸回路の最初に出てくるアセチルCoAに変換され、最終的には水と二酸化炭素になり排出されます。

この一連の経路の中で出てくる「脱水素酵素」というのが触媒作用を持つタンパク質なのです。

上に書いたほかに触媒の特徴としては、「反応の前後でその性質が変わらない」と言うことがあります。

つまり反応を促進するけれど、それ自体が反応して性質が変わってしまうものではない、ということです。

本来化学反応というのは高温高圧下で進みやすいのですが、柔らかな体内でそれをやると当たり前ですが体が持ちません。
またいちいち温度や圧力を上げなくてはならないのでは非常に効率がよくないのです。

触媒作用を持つ酵素の働きを一言で言うなら「高エネルギーから低エネルギーへなめらかに移行させる」となります。
自然界の原則として「できるだけ低エネルギー状態になりたがる」というのがあります。
高エネルギーというのは、言いかえると安定していない状態のことで、できるだけ変化の少ない低エネルギー状態へ向かうのはごく自然のことだと言えます。
しかし、この低エネルギー状態に移行するのにも反応エネルギーというものが必要になります。
あっという間に壊れる高エネルギーもありますが、なかなか壊れないものもあって、しかも意外とこれらは多いのです。
これを低エネルギー、体内で言えば利用可能な形にするためには、想像以上のエネルギーを必要とします。

そういった普段高エネルギー下で起きることを、タンパク質の立体構造を利用して推し進めるのが酵素で、しかもそれ自体は性質が変わらないために(無限回数ではないにしろ)再利用が可能なのです。

DNAについてでも書きましたが、このようなシステムはすべて設計図に書き込まれています。
しかし、分子レベルではこの瞬間にも改良あるいは改変が続けられていて、どれが生き残るのかは「強者適合」的な、単純な因果論だけでは説明の付かない選択が行われていると聞きました。

触媒作用を持つタンパク質やRNAが今日も生き残りをかけて様々な実験を行っていると思うと、とても感慨深いものがあります。

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