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脊柱の生理的湾曲

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脊柱の生理的湾曲について

脊柱、脊椎が連なって作る背中の柱という意味です、が必要な曲がりを持っておらず、まっすぐだから神経系が正常に働かず痛みや不都合が出る。
このような説明を受けて来院された方がおり、非常に不安がっておりました。

統計的にはどのようなものなのかわかりませんが、生理学的にそれを支持する事実というものを私は(不勉強のせいか)知りません。

確かに生理的湾曲というのは縦方向に大きな負荷がかかっている人体にとって有利な形状であると私も思います。

頚椎5番が前方、胸椎7番前後で後方ピーク、腰椎一番あたりで再び前方への湾曲を作り、そのから緩やかに骨盤まで後方へ向かう。
おおざっぱにはこのような構造になるのが理想とされています。
この湾曲の凹凸ピーク部分は、上下からの力が集まりやすくなります。
たとえば骨密度の低い人などが尻餅をついた場合、これらの椎骨の周辺に応力が集中し、最悪圧迫骨折を起こすことがあります。

脊柱がこれらの緩やかな湾曲を持たない場合、より深刻な外傷性の問題を被る可能性が高くなるわけです。
このような場合、内部の神経系やこれを包む硬膜に何らかの影響が出ることも考えられます。
ただ通常、外傷を認めない程度の負荷がかかったくらいでは内部に器質的あるいは機能的影響が出る、とは考えにくいとだけ申し上げておきます。

まず脊柱内では上部頚椎と仙骨下部、つまり脊柱上下末端近く以外は解剖学的につながりがありません。
正確には脊柱内部においてほとんど可動制限のない靱帯が存在しますが、事実上自転車のチューブのようにフリーになっています。
このように機械的連結がないという事実は、脊椎が圧迫骨折などをしても神経系に(既知の)問題を起こすことも考えづらいということにつながります。
ただし硬膜の牽引がおきるレベルの問題があれば事情が変わってきます。
また硬膜内の脊髄神経が前後の縦靱帯によってダメージを負っても話が別のものになります。

次に毎度おなじみの脊椎間孔が狭くなるために起きる問題・・・という論法ですが、これについてもわたしは異議を唱えます。
脊柱が湾曲減少のため直線上に配置された場合でも、椎間孔の経はそれほど減少せず、ましてや神経枝が物理的圧迫を受けるまでに狭くなるというのはかなり無理のある説明であると考えます。

もちろん人体というシステムは複雑怪奇なので、こういった事実上取るに足らない問題が負の影響を与える可能性がゼロではありません。
また、何かの問題に付随してこの「直線脊柱」が出現する、つまり原因ではなく結果として生理的湾曲を欠く場合もあるでしょう。
しかしながら症状とそれらを関連づける説明が不十分である以上、あまり気に病まなくとも問題はない、というのが私の現状での結論です。

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