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糖質制限4

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糖質制限4

さて今回も糖質制限がらみの稿となります。

そもそもなぜ糖質を制限する必要があるのか。

糖尿病というのは生化学の立場からいうと「糖代謝の問題」ということになります。
この糖にもっとも変わりやすいのが「糖質」を含む炭水化物や果物、砂糖などであるわけです。

タンパク質も糖へ代謝される反応があり、エネルギーが不足してくると構造体としてのタンパク質も使われ、異常な痩身がみられることがあります。
ちなみに脂肪分は直接糖には変換されませんが、β酸化という過程を経て、アセチルCoAを生み出し、クエン酸回路を回転させ始めます。

これらの問題、あるいは緊急状態における好ましくないエネルギー代謝が慢性化すると、短期的にも長期的にも問題を生じやすくなります。

それを防ぐため、糖の摂取を最低限にすることで高インスリン状態をも併せて改善させるという方法が糖質制限であるという触れ込みのようです。

インスリンの分泌が急激に起きないことから、膵臓のランゲルハンス島が再生のいとまを与えられ、少しずつ糖代謝にも好ましい影響を及ぼし、様々な生化学的負荷を除去しやすくする。

糖質制限の目的はそのようなものであると私は理解しています。

ただし必然的に高タンパク、稿脂質食に偏りやすくなるため、実行に当たっては専門家の指導やノウハウが必須のようです。
不用意に試さないようにしてください。

常時高血糖になる背景、メカニズムはいくつかありますが、いずれにしてもエネルギーである糖が正しく取り込まれずに血管内をうろつき、その結果としてエネルギー不足や糖化が起きて、組織の酸化反応が大幅に進んでしまいます。

目安として、血糖負荷試験(75gブドウ糖摂取)2時間後の上肢静脈における血糖値が126ないしは140以下になるよう代謝されていることが求められます。

また食後高血糖(グルコスパーク)があると平均的な血糖値が押し上げられ、HbA1cという検査結果が高値をとるようになります。
正常であれば(改正後表示で)6.2%以下であるとされています。

これらの数値が改善されなければ、早晩血管問題を生じやすく、早急な治療開始が必要だといわれています。

その中の一つ、(そうでは無いケースもありますが)比較的進んだ状態に対して行われるのがインスリンの注射です。

インスリンが血中に放出されると、とくに骨格筋において糖輸送体(glucose transporter:GLUT)という「糖の運搬船」が活性化され、筋細胞に取り込まれます。

しかしこの骨格筋はその働きが強くなる、つまり筋肉が使われている状況下ではインスリンの放出を制限する働きもあります。

そのとき骨格筋の中でATPが使われるわけですが、このATPが分解されて生じるのがAMPキナーゼ(activated protein kinase:蛋白リン酸化酵素)で、これがGLUT4という輸送体を活性化させます。

つまり筋肉を適宜使うことによって、血中の糖は高インスリン状態なしに骨格筋の中に取り込まれやすくなるわけです。

また同時にインスリン抵抗性という、インスリンが効きづらい状態の改善も見込まれ、糖代謝に不安のある方には是非おすすめした管理方法の一つです。

具体的にはゆっくりとした散歩や、低負荷のトレーニングがおすすめですが、食後の消化吸収を邪魔しない程度のものであることが肝要です。
高負荷あるいは必要以上の長時間連続する運動は、様々な弊害をもたらす可能性がありますので、少なくとも運動になれていない時期にはするべきではありません。

糖質制限という、未だ完全に(とくに長期にわたるケースでは)安全性が確認されていない方法は、生化学的な見地からも誰彼勧めるわけにはいかないのが現状でしょう。

しかし糖代謝異常というのはその母数の割には理解度が浅いもののようで、決して甘く見て良いものでも何も手を打たずに漫然と見過ごすべきものでもありません。

専門家による経過観察はもちろんのこと、(糖代謝異常が無くても)日常における管理方法の一つとして、正しい運動をご検討いただければと思います。

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