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神経圧迫説 三たび

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神経圧迫説 三たび

神経圧迫説 再びで「脊柱ねじれによる神経根圧迫を障害の原因とするのは根拠が無い」というようなことを書きました。

これにつきましては不勉強であったことを告白し、深くおわびするものであります。
それは神経圧迫が原因となりうると確信したからではなく、あまりに解剖生理の知識が欠けたまま掲載してしまったことを恥じるからです。

申し訳ありませんでした。

勿論現在が完璧というわけではありませんが、しかし幾許かの知見知識を得ましたので、これを元にもう少しこの主張について考えてみたいと思います。

まず解剖の復習から。
脊柱、いわゆる背骨は頚椎7、胸椎12,腰椎5、仙骨1(+尾骨)で構成されています。
延髄より下の脊髄神経は末梢神経に分類され、腰椎2番辺りまで伸びています。
腰椎2番より下では馬尾神経という、馬の尻尾のような構造になっていて、そのまま椎間孔を出て器官や組織を支配しています。

脊柱内では脊髄神経は前根と後根があります。
前根は運動(遠心性)神経を、後根は知覚(求心性)神経を出しています。
それが椎間孔付近で一つになり運動知覚療法の神経根、神経枝ができます。
椎間孔を出た神経枝は前枝と後枝に分かれ、それぞれの領域を制御します。

このとき前枝の一部がもう一度脊柱に向かって反転している部分を反回髄膜神経といいます。
反回髄膜神経は脊柱の脇を走る交感神経節とシナプスを作り、周囲の靭帯、硬膜、椎間板外周、血管壁などに分布しています。

はっきりしていないところもありますが、この神経が脊柱の運動に伴う痛みに関係していると考えられており、交感神経節周辺の血行障害もこの神経に負荷をかけるものとみられています。

神経圧迫説と呼ばれる(私が勝手に呼んでいるだけ?)主張を基礎とした理論は、脊柱アライメントの不適切な状態が椎間孔を狭め、それにより神経根及び支配下領域に問題を起こす、というロジックに基づいていることが多いようです。

椎間孔そのものは神経枝よりもだいぶん大きめで、十分なキャパシティーを持っています。
ただしある位置にロックされた状態であると、後縦靭帯や椎間板外周部分で交感神経性異栄養症あるいはそれに類した障害が発生することは十分に考えられます。

この状態であるならば増大したインパルスが反回髄膜神経→交感神経節を刺激し続けて、持続的な違和感や疼痛を引き起こし得ます。

また、神経周膜が未発達な神経根周囲は確かに外力による影響をうけやすいと考えられますが、そこで起こっている構造問題あるいはその反応が障害を起こしうるものであるとする説明が本当かどうか、私には少々疑わしいものとして映ります。

また、本来柔軟性復元性に富んでいる軟部組織がロックされてよしとする状態というのは、当該部位に対する単純なアジャストメントを受け付けるかどうか、微妙なところだと言えます。
言い換えると問題の背景、そしてその原因、さらに復元を可能にする反応の順番あるいは経路というものが存在して然るべきのような気もします。

そんな訳で経験豊富な治療師が、十分に検査を行い実施する「脊椎矯正」に関しては何ら心配がないどころか、期待するような効果がある、或いはその可能性が高いという話には賛同します。

しかしそのメカニズム、特に神経圧迫を解放するという説明については依然として疑問を呈するものであります。

この件については引き続き勉強をしてみることにします。

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