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尾骨

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尾骨について

季節柄どうしても転倒、尻餅などによる受診が増えてきています。
その際おしりというよりは尾骨を打ち付けて以来、調子が悪いと訴えるパターンもそれなりに見かけるようになりました。

人間は危険な状態になったと判断すると、ほとんど反射的に正中線をかばう動作をします。
体の真ん中に色々と弱点が集中しているからですが、後ろ側に関してもやはり少し斜に構えて、体の外側を晒すように身構えるようです。

しかし冬の北海道の路面は、身構える暇を与えてくれないほどよく滑ります。
特にこの道南周辺は0度前後の気温で推移することも多く、氷が水に変化し、かつ踏まれるとまた水に戻るという、歩いたことのある人なら「あああれね」といいたくなるやっかいな路面状況なのです。
しかもその上に薄く雪がかぶっている状態だと、見慣れた我々でさえ見分けがつかず派手に転ぶこともあります。

ましてや慣れていない、あるいは加齢などで視力、反射神経が低下していると何がおきたかわからない間にあちこちをしたたか打ち付けることになります。

仙骨と尾骨は解剖学的には(ほぼ)一つのユニットとしてみることができます。
また医学的には痕跡の一つとみられていて、機能的な変動とは無関係であると考えられています。

ただし私の臨床的な経験からいうと、それだけでは説明のできないケースが多すぎるといわざるを得ません。
おしり特に尾骨をまともに打ち付けてしまうケースでは以下のような問題を抱えやすくなります。

・頭痛
・腰痛
・月経不順をはじめとする婦人科の問題
自律神経系の不安定さ
・不安症
ほか色々・・・

頭蓋内で骨膜として付着している硬膜は、そのまま頭蓋外では脊髄硬膜になります。
脊髄硬膜は微小靱帯をのぞいて上部頚椎以下ではどこにも係留されておらず、唯一仙骨から出て尾骨の骨膜と合流することで宙ぶらりんであることから逃れています。

「頭蓋仙骨療法 (J.E.アプレジャー著)」によれば、この下側係留部分への衝撃は、硬膜の上下方向への運動を制限しうる要素になる、とあります。
ただそれは基本的に「理想状態」においての話で、通常そんな都合のよい状態はあまり見かけません。
たいていどこかに制限を抱えつつ、尾骨に加わった衝撃をいなしきれないで苦しんでいるケースが圧倒的多数です。

圧迫骨折など明確な外傷を除いて、もっとも影響を受けるのが胸椎周辺の可動性と、その周辺の交感神経セグメントです。
ここの毛細血管に血行障害を誘発するような制限がもっとも多い問題で、これが慢性化するとアクセル役である交感神経システムとその関連メカニズムに応答遅れや応答過剰が生じやすくなります。

これらの結果はご存じの通り、体に様々なひずみを蓄積してゆくその第一歩となります。
私は硬膜における機械的牽引による制限、そしてそこからくる神経系への影響を否定するつもりはありません。
実際、尾骨(は直接タッチできないので代替部分)の調整によって完全に症状が消失した症例をいくつも経験しております。

しかし、硬膜も生体組織の一つである以上多少の伸びシロを持っており、すべての尾骨の制限が硬膜に悪影響を与えるとは考えにくい、という立場をとっています。
そして尾骨問題があると思われるケースをよく観察してみると、上記のように機械的接続の少ない部分に問題を生じていることが少なくないのです。
興味深いことに原因であるとおぼしき尾骨の修正を行わず、胸椎周辺の機械的な調整を行うことで状況、症状が改善されることがあります。
交感神経系の緊張=末梢血管の収縮=硬膜自身のもつ反応性の低下、と私は考えておりますので、一応つじつまの合う話であると感じています。

上記の「頭蓋仙骨療法」において、尾骨に直接コンタクトして調整する方法が書かれていますが、実際には骨盤やほかの部分の調整で事足りるもので、いろいろな面から直接コンタクトはするべきではないと考えます。

ひどい尻餅や階段から落ちた経験のある方、不調感があるようなら尾骨のチェックが必要かもしれませんよ。

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