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体温調節

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体温調節

ここ数年「寒さがつらくなってきた」という台詞を吐くようになりました。

加齢というやつですが(笑)、強力な発熱器官でもある筋肉の絶対量の低下はさておき、制御システムにおいてもどうやら反応性の低下があるように思えます。

これはいかなる問題なのか。

いつものように自分のために改めて調べてみました。

体温調節は主に視床下部にある前核/後核によってコントロールされています。

前核:主に温感/熱受容器からの入力に反応し、皮膚を通して放熱する方向に働くシステムを統合制御しています。

ここを電気刺激すると「あえぎ」が始まり、皮膚表面からの放熱反応が起きます。

逆にこの核が損傷されると、放熱反応が極端に鈍り、発汗やあえぎがなくなるため、内部の温度は恒常性を保つ限界を超えても上がり続けます。

主にこの核においては「至適体温はこのくらい」という指標(各組織のセンサーから上がってくるデータや血液温)を元に余分な熱を逃がす制御を行っています。

では余分な熱が逃げないとどうなるのか。

まず血液の温度が上昇しますが、これによって通常血管が拡がり、この刺激が皮膚表面の汗腺を開くトリガーの一つになります。

前核の問題はこれが起きづらくなる背景となり得ますが、外部に向かうことができない温度は内部への拡散によって平衡化してゆきます。

コア部における温度上昇のリスクは

・心拍数をはじめとする代謝システムの行き過ぎた活動

・これを支えるように、あるいは反対に納めるように起きる内分泌系のオーバーワーク

など、当たり前ですが多岐にわたるそして喫緊の問題となり得ます。

また中枢神経系は大量のエネルギーを消費し、その反動として熱を発生させやすい組織ですが、ここは自動運動ができない分、受動的な冷却だけがその命綱となっています。

「頭に血が上る」などという言い回しがありますが、これをとおして考えてみます。

文字通り「(興奮して)血液が頭に集まる」ということですが、この状況下において脳内ではノルアドレナリン/アドレナリンの分泌および代謝が活発になっていると推測されます。

じつはこれらのアミン系は、反応促進というか活性化を行うには最適の物質なのですが、同時に瞬発系の反応を起こすためにいろいろ負荷をかけるよう働きかけます。

当然脳もそれにならい、いろいろ忙しいことになります。

人体には「至適温度」というものがありますが、これが関係しているのは酵素活性だけではなく神経伝達物質に関してもある、というお話を聞いたことがあります。

つまり脳内で温度が上がりすぎるときちんと作動してくれず、それはつまり制御系の暴走を招きやすいということにもなります。

ますます視床下部で行われる制御は不安定になり・・・・と悪循環の開始です。

また脂質がその多くを占めている脳という組織は熱にはかなり弱く、簡単にエラーが起きてしまいます。

「アタマを冷やせ!」

よくきくこの台詞は、じつはとても利にかなっているようです。

基本的には体の周辺の環境温に対するアジャストメントを行う機能で、皮膚の状態にものすごく左右される傾向があります。

ある種の皮膚問題を抱えている人たちは、この機能が十分働かずにつらい思いをすることがあります。

一方、寒気あるいは低温に対して筋肉を強制的に震るわせて熱を上げる、つまり「ブルぶるっとくる(というのかな?)」反応は、同じ視床下部の中でも後核が受け持ちます。

こちらは冷感あるいは寒冷刺激によるセンシングがそのトリガーで、体温の低下を防ぐ目的でおこなわれます。

体温の低下は酵素反応の低下を招き、場合によってはクリティカルな問題に発展します。

何しろ私たちの体は常に酵素による反応がないと何も動かないのですから。

ですからそうなるまえ、体温が35度以下に下がるまえに反応する必要があります。

まず皮膚温と血液温の低下が視床下部でキャッチされます。

これを元に

・自律神経、特に交感神経系の活性化

これは立毛筋によって毛を逆立て、熱の絶縁層を作ります。
また血管を収縮させ、熱を逃がさないようにもします。

副腎髄質からアドレナリン(ここは例外的に交感神経節前繊維支配---アセチルコリン作動性)分泌が亢進し、血糖値などを押し上げます。

こうやって緊急状態を作り、エネルギーの供給を切らさないよう働きかけます。

また大脳皮質に情報を送り、随意運動を促すことによりエネルギーの産生を後押しします。

こちらは前核制御とは違い、深部温度の監視という側面が強く、各組織が必要なエネルギー代謝を維持するために行われます。

これらは私たちが基本的に恒温動物であり、狭い範囲で体温をコントロールしていないと簡単に参ってしまうためについている大切な機能です。

しかしながら北海道のように寒い冬に盛大に室温を上げたり、暑い夏の本州でクーラーを四六時中寒いくらいに稼働させるなど、体温のコントロールエラーを誘いかねない住環境が進んでいるようです。

体調が崩れるほど我慢する必要はもちろんありませんが、いわゆる環境温にある程度体をさらしておく必要もまたあるというのが私の実感ではあります。

前稿の努力ではありませんが、ある程度乗り越えるべき問題があった方が、全体的な適合性が増すからです。

視床下部自律神経系が中心となって行う体温調節もまたしかりで、制御反応そのものもそうですし、血管や立毛筋、骨格筋の熱発生メカニズムも使う機会が少なければそれなりにしか機能しなくなります。

まえにも書いたように、私たちのようなオープンシステムはいったん反応方向が決められると、簡単には修正が効かなくなる傾向があります。

養生すべきとはきちんと養生しなければなりません。

しかしそれ以外の時は少しばかり気合いを入れてあげた方が何かとがんばることのできる体になるはずです。

可能であるなら「脱過保護」。

これが私の当面のキーワードです。

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