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乳酸

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乳酸

体内のどこにである、きわめてありふれた物質です。
わりと最近まで筋肉の疲労を誘発する物質であると考えられてきましたが、この考え方は現在は(ほとんど完全に)否定されています。

そもそもこの乳酸なる物質、どのようなものなのでしょうか。
体内では解糖系と呼ばれる糖代謝のプロセスでできるピルビン酸からつくられます。
また炭水化物を分解してこの乳酸を作る酵素を「乳酸菌」と称します。

さてここでひとつ筋肉のお話を。
筋肉、ここでは骨格筋をさしますが、は筋繊維が集まってできたものです。
この筋繊維はさらに小さい筋原繊維という組織でできていて、それはさらにアクチンとミオシンという微細繊維に分解することが可能です。
この非常に小さい繊維が互い違いにかみ合っており、これがお互いの間に滑り込むことで筋の収縮がおきます。

これら骨格筋は遠目から見ると縞が入ったような外見であり、それ故に「横紋筋」という分類をされます。
横紋筋は大きな力を出せますし、随意筋といって意志によってそのアクションをコントロールすることができます。
同時に比較的短期間で疲労してしまい、長時間働かせるのが難しいという側面もあります。
もっともこれは制御系の疲労が半分以上関与していると考えられ、事実ランナーズハイなどの特殊な状況下ではあまり疲労を感じないといわれています。

体中いたるところにある私たちの筋肉ですが、毎日のルーティンで使用されるものは概ね決まっていて、意識して使ったり鍛えたりしない限り、効率優先の人体はできるだけ少ない部位で運用しようとします。
また、使う限度も他の部位との協調制御を最適化させてあるので、これまた低く設定されています。

これらの「省エネモード」をかなぐり捨てて使われる場合、例えば緊急性の高い状態や、筋トレなどで普段使わない部位を鍛えたりするとその反動は時間差をおいてやってきます。
嫌気性反応である解糖系の場合、つまり酸素を取り込んでゆっくりエネルギーを使う時間の無いとき、筋肉はその代謝物である乳酸を筋肉内に蓄積させます。
そして血流に乗っかって肝臓に戻されると糖代謝に参加し、エネルギー産生を促します。
つまり筋肉を元気にする方に使われるのが乳酸であり、決して疲労物質などではないのです。

ちなみに筋肉疲労のメカニズムに関してはその主役がカリウムイオンであると現在は考えられています。
通常カリウムイオンは細胞内に多いのですが、筋収縮に伴い細胞外にくみ出され、それが回復しないままに使われることによって生じる、一種の収縮不全がその背景であるとされています。
またその制御系である神経系も何度も脱分極を繰り返すうちにカリウムがくみ出され、基本的に同じ状態になるため、刺激が減少することもその一因であると言われています。

筋肉痛に関しては次のような説明が有力とされています。
筋肉はその収縮に際してカルシウムイオンを出し入れしています。
筋の慣れない使用状況はその筋原繊維レベルでの損傷を招きます。
正確には筋膜と筋原繊維に微細な破損を生じ、その部分に逸脱酵素やミオグロビンなどが流入してきます。
これが筋原繊維を破壊しますが、その結果としてカルシウムイオンを過度に取り込み、タンパク分解酵素を活性化させます。
筋の破壊はますます進みますが、そのときにおきるのは破壊された筋繊維が出す物質が肥満細胞を刺激し、発痛物質と呼ばれる一連のメディエーターをつくります。
これが筋肉痛の原因であると考えられています。

乳酸は乳酸菌を食べれば増えるというものではありませんが、適度な負荷をかけることでおきる代謝の向上が軽度の筋肉痛とともに私達の体を元気にしてくれるようです。

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