ドコサヘキサエン酸
ドコサヘキサエン酸
こんな記事を読みました。
魚介類中心の食生活が(部分的ですが)肯定されたようで、和食文化圏にいる私も嬉しく思います。
記事中にある”DHA”ですが、これは脂肪酸の一種でω-3に分類される不飽和脂肪酸の一種です。
この脂肪酸が「体に良い」と言われてからかなり経ちますが、恥ずかしながら何がどう良いのか私はよく知らないままで来ました。
というわけでここからは私の勉強の(以下略)。
そもそも私達の身体にとって脂質というのはどのような役目を果たしているのでしょうか。
まず細胞膜の主たる構成要素であること。
細胞膜はリン脂質の二重膜ですが、これは固体というよりイメージ的には硬めの流体と表現したほうが正しいように思います。
特に神経系においてはその比率が高く、脂質代謝は神経系の状態に強い影響を及ぼします。
次に直ぐに必要とはいえないエネルギー(糖)は、とりあえず脂肪にして蓄えておくというのが、大半の生き物が取る生き抜くための重要な反応です。
それ故に見た目(体積あたりの)よりも多くのエネルギーを持っていて、人間の場合はATPが足りなくなると、脂肪を燃料にタンパク質をエネルギーに変換します。
そのため分子構造は炭素の連なりで、いわば燃えやすい(=不安定な)分子を安定的にとどめておくための構造となっています。
さて上記のような性質を持つ脂質は、生体にとっては流動性が大きく関わる問題となってきます。
仮に私達の細胞膜が流動性を持たない、あるいは極めて小さい事実上固体で出来た膜としてみます。
まず炎症反応がおかしくなります。
炎症はその過程で細胞膜からアラキドン酸を引き抜きますが、これができないあるいはかなり困難になると予想されるからです。
炎症はありすぎると困りますが、全くないのはもっと困る反応で、簡単に活動停止に追い込まれます。
次に蓄積され得る形のいわゆる「脂肪」も、脂肪>エネルギーへの変換が数段厄介になります。
硬くて安定したものはそれだけ別の形での利用が面倒になる、というところでしょうか。
最大の問題点として耐衝撃構造が取りづらくなる、があげられるでしょう。
要するに「柔らかい」からこそ発揮される環境追従性ががくんと落ち、現在可能な動きの大半ができなくなることが容易に予想されます。
どれも皆「半分液体のような構造だからこそある便利さ」がスポイルされることから起きるデメリット、ということです。
あるいは私達の身体はあちこちで脂肪の塊を作ることがありますが、血管内におけるそれは非常に厄介な問題として近年注目されています。
これも硬いよりは分解しやすいほうが良さそうな気がします。
さて表題のドコサヘキサエン酸(DHA)は、その構造中に炭素の二重結合という、非常に壊れやすいあるいは変形しやすい構造をたくさん持っています。
ざっくり書くと「不安定な分子構造」で、同時にこれを多く取り込んだ脂質構造は流動性が増してきます。
細胞膜にとってそれはとても重要な事で、しかも同じ不飽和脂肪酸であるω-6系のように炎症反応の過剰な発生などのリスクは少なくなります。
対して飽和脂肪酸というのは炭素の多重結合がない構造で、安定的な構造ですが、同時にその分解処理が大変で、そのぶん内臓の負荷が大きくなると考えられています。
もちろん不飽和脂肪酸特有の問題もあります。
まずなんといっても不安定であるということでしょう。
流動性と表裏一体のこの特徴は、ラディカルとも相性が良いことを示しています。
つまり酸化しやすいわけです。
ただし3系は6系よりもその点でリスクが低い、らしいのですが。
ちなみにドコサヘキサエン酸は必須脂肪酸に分類されます。
正確にはαリノレン酸から合成されますが、動物の体内ではαリノレン酸を合成できないからです。
下記の記事中にもあるように、以前は良いとされていたもの(ω-6系のリノール酸も含めて)が実はあまり好ましくないという話は珍しくなくなりました。
いずれにしても偏食するのは避けねばならないものですから、身体と相談しながら摂取する必要があります。
これは治良屋としての拙い感想でしかありませんが、医療機関などで飽和脂肪酸の代謝問題などを指摘されている方たちの場合、総じて膀胱の負荷を思わせる手応えが高い確率で感じられます。
ただしこれは解剖学的な箇所の問題というよりは、機能的あるいは経絡問題とリンクしていると私は感じています。
乳加工製品の過剰摂取時の手応えとかぶるものであり、一番深い経絡問題との関係を疑わせるため、注意深く治良することが求められるケースが大半です。