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アスピリン

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アスピリンについて

アセチルサリチル酸。
アスピリンの化学名はそうなっています。
サリチル酸とは柳の樹皮からとれるモノで、当初はこれが鎮痛剤として使われていました。
しかし、これは消化器官をいためるという副作用をもっていたため、飲み過ぎると胃潰瘍などになる人が後を絶ちませんでした。
その一人にドイツ人のホフマンという人がいて、彼はリウマチのため、サリチル酸を常用しておりましたが、ひどい胃痛に悩まされていたそうです。
そこでその息子が研究を重ねてできたのが、酸の働きを弱める(という目的のため)アセチル化したモノでした。

19世紀末、ドイツのバイエル社が「アスピリン」として売り出したところ、世界的大ヒット、しかも超ロングセラーで定番商品となったのです。
セイヨウナツユキソウの学名 Spiraea ulmaria に由来していて、合成品であることを示すため、否定を意味する a をつけて aspirin としたとのこと。
そんなこと全然知りませんでした。

アスピリンステロイド系の抗炎症剤とは違うメカニズムで鎮痛作用を発揮します。

ステロイドは炎症のはじめ、細胞膜からアラキドン酸を遊離させる酵素と結合して、炎症を抑えると考えられています。
また、細胞膜を透過してタンパクやエネルギー合成にも影響を及ぼすと考えられていて、なかなかに強烈な反応を起こします。

対してアスピリンステロイドが抑える反応のもう少し下流、切り離されたアラキドン酸が局所ホルモンに転換されるステップで、その酵素(シクロオキシゲナーゼ COX)を阻害します。
ちなみに酵素の働きによって生化学的反応が進むのを「カスケード(段違いの滝)」といい、アスピリンステロイドは「アラキドン酸カスケード阻害剤(と呼ぶかどうかは知りませんが)」ということになります。

炎症作用が過剰に起きることでイニシエーションが起きる疾患が意外と多い、と思わせるのがアスピリンによる各種予防効果です。
最近は低容量を長期服用することによって血栓防止が認められるというデータが出ており、ロングセラーはダテではないようです。
しかし出血傾向を持つ人は禁忌なワケで、よくよく医師と相談しないとまずい結果を招きかねません。

副作用の消化器官の問題は、COXのサブタイプ1を阻害して起きる現象で、胃酸や粘膜の分泌制御に関わる局所ホルモンに関わるモノです。
そこで「じゃあサブタイプ2だけを阻害すればいいのでは?」という発想から生まれた「スーパーアスピリン」が作られました。

今あまり出回ってない理由はもちろん「結構まずいよ、これ」という判断がなされたからです。

COXを阻害して起きるのは、トロンボキサンとプロスタグランディンの抑制反応です。
トロンボキサンA2という生成物は、血小板凝集作用や血管収縮作用をもっていますが、結果的に血液の流れを押しとどめるようなモノになります。
しかしサブタイプ2は血管内皮ではプロスタグランディンI2という局所ホルモンの生成を促進します。
これはトロンボキサンA2と拮抗的に働きます。
サブタイプ2を抑制すると相対的にトロンボキサンの方が強く働くようになり、血栓傾向、欧米ではこれが心臓に悪さをする方に働きやすくなります。

サブタイプ2の選択阻害剤は現在治験が進められているそうなので、改良型の登場を期待しましょう。

アメリカではもうほとんど常備薬扱いになっていて、エライ量のアスピリンが消費されているそうです。
最近は胃の荒れを防ぐアルミニウム化合物が配合されたりして(日本では商品名バファリンなどが有名です)、すごい薬なんだなあと感心してしまいます。

しかしやはり薬は薬。
不用意に飲んだりせずに、専門家の指示の元で正しく使いましょう。

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